死神のお仕事
死神になった日














パーン!

一発の乾いた銃声。


彼女の瞳には、全てがスローモーションのように映った。



撃った中年男性は、


「空砲のはずだったのに…くっ…つかまってたまるか!」


銃を持つ両腕を震わせ、真っ青な顔で逃亡した。


撃たれた青年は



「………」


左腕から多量の出血を帯びながら、声もなく地面に伏した。


ドッ!

鈍い強打音が聞こえ、青年は微動だにしなくなった。


ただ傍観していた彼女も、その音でハッと我に返る。

そうして、倒れた青年に一歩ずつゆっくりと歩み寄る。


カツーン…

カツーン…

カツーン…

カツーン…

ハイヒールの足音が響いた。


カツーン…

目を固くつぶり動かない青年に、彼女は恐る恐る声をかける。



「アルフ…?」


「………」


青年からの返事はなかった。

急所を撃たれたようで、青年の血は止め止めもなく、勢いよく地面を染めていく。


耳を口に近づけても呼吸がなく…腕を手で掴んでも脈が無いことを確認した彼女の瞳から大粒の涙があふれ出し…。



「いや…いやよ…いやー!!!!!」


悲痛な叫び声が、夜間のため無人な駐車場にこだました…。
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