死神のお仕事



「そう身構えんでも、わしゃ何もせぬよ。」


声が少し近づいて、アルフは耳を澄ませる。


………。

…どうやら、マグマの中から響き渡っているようだ。


アルフは、マグマの底を覗いてみた。


コポコポ…とマグマが湯気を上げながら、煮えたぎっている。

そのマグマのすぐ上に、鬼のような形相をした男が一人浮いていた。


浮いて…?



「ほっほ。ちょいと待っておれ!」


男はアルフを見上げ、愉快そうに言った。

そして、何やら呪文のような言葉を唱えた。



シュン!



「くっ…!?」


マグマから強風が吹き出し、男は一瞬にして、アルフの背後に着地していた。



ガバッ!

アルフは振り向き、警戒の眼差しを男に向ける。
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