愛する人
✳️✳️もう、良いよ
「えっ?昨日の人って?
あーあ、涼?
涼は、大学の同級生で同期なの。
だから。」
「なら、俺も、櫂。」
「‥‥うん、わかったよ。」
「なら、呼んで。」
「‥‥‥‥‥櫂・・・」
「もう、一回。」
「なに、櫂。」
「もう、一回。」
「もう、嫌。」
「お願い、ね。」
「櫂。」
湊は、ヤッホーって
いいながら、私を抱き締めて
クルクル回した。
「きゃっ、湊、湊
酔う、酔うから。酒、酒。」
「ああ、ごめんなさい。
あまりにも、嬉しくて。」
「クスッ・・もう、なんなの。」
「で、俺の告白の返事は?」
「返事って言われても
私は、湊の事あまり知らないから」
「付き合って行くうちに
知って行く方法もあるよ。」
「軽いな。私は、次に付き合うときは
結婚を決めたいの。
だって、私は27歳なのよ。
湊は、若いでしょ?
私みたいな年上じゃなくて
年相応の人がいいよ。」
と、言うと。
湊は、いきなり
「嫌なら、嫌だと
言えばいいじゃない。
若いから頼りないと
言えばいいじゃない。
そんな、とうまわしに
言わなくても。」
と、言って
自分のかばんを持って
玄関にむかった。
「ちょっと、ちょっと
そんなつもりじゃないから。」
と、追いかけながら言うが
「もう、いいよ!!
お邪魔しました。」
と、言って玄関を出て行った。
“ バターン ”
目の前で、ドアが閉まった。
傷つけた?
そんなつもりじゃなかったのに。
私は、かいから貰った
イギリスのおみやげの
アンクレットを見ながら
力が抜けて行った。
その日から、
櫂に会うことも
なくなった。