愛する人
✳️✳️ごめんなさい
彼に肩をトントンされて
「あっと、ごめんなさい。
なぜ、カラコンわかったの?」
「うん?微妙に違うんだよね。
本当は、何色?」
「モスグリーンよ、薄い。」
と、言ったら
「ふーん。で、仕事は?」
「会社勤めですけど。」
「ふーん、秘書さんとか?
じゃ、社長さんと、あんなことや
こんなこと、みたいな。」
私は、こういう輩が大嫌いだ。
回りの人にも、
そんな風に言う輩がいる。
私の恋愛が、続かないのも
一つは、これだ。
専務からの用事は、最優先だから。
だが、今のは、
私の尊敬する専務も
奥さまの美羽様にも失礼だ。
ちょうど、降りる階に着いたので
彼を無視して降りて部屋へ向かう。
彼は、慌てて降りてきて
「ちょっ、ちょっと、ゆうさん。
怒ったの?怒らせた?」
「下水な事を言う人には
関わりたくありません。
ついて来ないで下さい。」
と、言うと
「ごめん、ごめんねって。」
と、何度も言っていたが
私は、相手にせずに
部屋のロックを解除した。
彼は、尚もついてきたから
「警察に連絡しますよ。」
と、睨みながら言うと
「ああ、ダメダメ
連絡したら、ゆうさんの方が
叱られますよ。
俺ん家、ここ。」
と、彼が指さしたのは
私の部屋の隣・・・・
私は、1515
櫂は、1516
私は、彼を一睨みして
部屋に入ると
ドアの隙間に足をいれられて
「本当に悪気はなかった。
失礼な事、言ってごめんなさい。」
と、紳士的に言うから
「ふぅー、わかった。
私だけでなく、
専務や奥様にも失礼だと
思ったから。」
と、言ったら、
彼は、ホッとしたのか
にっこり笑って
「良かった。」
と、言って
「また、話してくれる?」
と、訊ねるから
「会えた時には。」
と、言うと
「良かった、またね。」
「おやすみなさい。」
と、言って部屋の中へと入った。