愛する人
✳️✳️紫海
あれから、20日程が過ぎた。
やっと出血が止まった。
良かった!
ごめんね、赤ちゃん。
ママが弱いばかりに。
と、考えてると
優子先生が、入ってきて
「どうする?
あの、モデルさん来てるけど?」
と、言った。
あの·····モデルさんとは·····
間違いないけど
私は、可笑しくて
吹き出した。
「あら、何を笑っているの?」
「だって、先生。
先生の言い方が、可笑しいから。」
「かなり、あちこちで
苛められてきた、みたいよ。
まあ、私もちょっと
苛めたけどね。」
と、言うから
「あら。」
と、言うと。
「紫海ちゃん、10分だけ。
その間に異変あったら
ナースコールね。」
と、言ってくれた。
私は、
「はい、先生。」
と、答えた。
少し、すると
« コンコン »
« どうぞ »
長身の櫂が、体を曲げて
入ってきた。
その顔は、今にも泣きそうで
「すまない······紫海·····。
紫海が、こんな風に
なっていることも知らずに
本当にごめん。」
と、頭を下げる。
私は、ずっと
その様子をみていた。
なんだか、凄く冷静な自分が
怖かった。
「足げにイタリアに通っていたのは
お仕事ではなく、あの綺麗な
女性に会うためだった?
貴方の気持ちは、たった五年で
覚めるような軽いものだった?
私達が、築いてきたものは、
そんな薄っぺらいものだった?
櫂······私ね······考えたの·····。。
あなたは······結婚には向いてない
と。
一人で、気楽に生きた方が
貴方自身が·····輝いて行くのでは·····
ないかと。」
と、言った。