愛する人

✳️✳️言い訳ばかり


「ちがっ、違う、
ミッシェルとは・・・」
「そう、ミッシェルさんとおっしゃるの?」
「訊いて、紫海?!」
「もういいの。
あなたは、いつも言い訳ばかり。

でも、勘違いしないで
あなたを今回も100%疑ってた
訳じゃないの。

ただ·····もう·····疲れ·····ちゃった······。

何かが出る度に
山田さんから、フォローがあって、
そうなんだ、そうだよね。
私は、櫂を愛しているし
と、自分に言い聞かせ。

人気のある人とモデルと
結婚したんだから
仕方ないと、
自分に言い訳していた。

あなたは、あなたで、
毎回、私に言い訳をする。

今回も、そうかも知れない。
だけどね・・・だけど、
私は、そんなに強い人間じゃないんだよ
櫂!!」
と、言うと
櫂は、下を向いて顔を上げなかった。

「あんなに·····
マスコミさんを騒がせて
結婚したから、簡単に離婚とか
出来ないと思うから
しばらく離れて
時期がきたら、お別れしましょう。」
と、言った。

櫂は、首を壊れた人形みたいに
横にふり
「いやだ、嫌っ、
もう一度だけ、もう一度だけ、
俺にチャンスを·····下さい。
お願い。」
と、言ってくれたが
私は、首を縦にふることが
出来なかった。

「櫂、ごめん。
疲れたから、もう帰って。」
と、言った。

櫂は、紫海をみたが
紫海は、俺に背を向けて横になった。

俺は、何もできずに
立ちすくみ·····
諦めて······紫海の病室をでた。

出たところに
お義母さんがいて
俺は、お義母さんに託されて、
自販機の所へきた。

「櫂君、紫海も貴方が
浮気をしているとか
思ってないのよ。
ただ、心が疲れてるの
しばらく、紫海の思うように
して上げて。」
と、言われた。
俺は、
「お義母さん、本当にすみません。」
と、言って涙が溢れた。

お義母さんは、
俺の背中をずっと擦ってくれた。
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