水色の夢を、キミと。
 





「なんかおれ、朝日に勝てる気がしないんだよな。絶対」






伏せていた目を開けてこっちを見た。



朝日と昴は野球のチームメイトであり、親友でもあった。

腕は同じくらいのはずだ。
チームでトップを争うくらい。



だから勝てないことなんて、全然ないのに。

朝日が昴をぬいて戻ってくる可能性だってあるけど、昴が勝ってることだって充分にありえるんだから。



なにをもって〝勝っている〟というのかはわからないけれど。






「……もし戻ってきたらさ、夏音をとられそうで怖い」


「え?」






びっくりして目を丸くしてしまった。
まさかわたしのことだなんて誰も思わない。

予想外の言葉すぎて。


てっきり野球のことだとばっかり思ってたから。






「そんなわけ――――」






ないでしょ、と言おうとした次の瞬間にはもう、わたしの身体は昴の腕の中にすっぽりとおさまっていた。


顔がじわじわと赤くなっていくのがわかる。

いや、ここで赤くならない方がおかしい。
こんな人前なのに恥ずかしいよ。






「結局はお前がどっちを選ぶか、なんだけどな」






ぼそっと呟いた昴の心臓が弾んでいるのがわかる。
体温が熱くなっていく。

きっと、わたしの心臓もこんなふうになってしまっているんじゃないか。






「……もう」






昴のこの言葉に対して、こんなことしか言えないわたしがもどかしくて。





 
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