水色の夢を、キミと。
昴は満足したのかわたしを開放すると、ベンチから立ち上がりながら言った。
「さ、腹も減ったし帰るか 」
「そうだね」
もう1時を過ぎている。
無意識にお腹がなった。
歩きだそうとすると、まだ昴が立ち止まっている。
「早く行こーよ?」
「……おれは好きだからな。世界で一番」
「……ありがとう」
桜の花びらが商店街の中をひらひらと舞っている。
ショーウインドウやお店の中がみんな春色に染まっていて。
隣には昴がいて。
これ以上の幸せなんて願っちゃいけないと思うけど。
それでも、わたしの近くにキミはいないんだ――――。