水色の夢を、キミと。
暇なときにはお互いをさそって遊んで、ケンカして家に帰って。
それでまた次の日にはいつの間にか仲直りしていて平気になっていて――――。
ずっとそんな日常を送っていた。
……だからこそ、それは突然の出来事だった。
「朝日くんが、転校することになりました」
そうたんたんと先生が言うと、
ええええ、とクラスから悲鳴にも似た叫び声があがった。
この日、朝日は珍しく休んでいた。
「みなさんと最後に会えれば良かったんですけど、この土日で引っ越してしまわれるそうです」
ただ感情もなく言ってのける先生を見ていると、本当に人間なのかと疑いたくなってしまう。
―――― 今日は金曜日。
もう会えるのは明日までか明後日までか。
……はたまた今日までなのか。
周りからは、すすり泣く声や驚きの声が上がっている。
私ただ1人、声も出ずただ座っていた。
でも、
大丈夫だよ、と泣きながら私のことを励ましてくれる優しい子たちがいて。
「さあさ、授業をしますよ」
「――……先生」
ガタン、と音を立てて思わず立ち上がってしまった。
クラス中の目が私に集まる。
好奇の目ではなく、同情の目が。
「わたし、早退します」
先生が返事をする前に、ランドセルを掴んで教室から走り出た。