青涙
「仲良いのに教えてくれなかったの?」

「はい…。
“恥ずかしい”とか言って…。
へ…東間くんにも聞いたんですけど、覚えてないみたいで…」

「嘘でしょ?
そんな大事な事、忘れるわけないじゃん!!」

そういえば…。

『覚えるの苦手なんじゃ…』

『得意です…』

って言ってたもんね…。

じゃあ…私に嘘ついたんだ…。


でも…何で?


「まあ、いいわ。交際期間は大体1ヵ月として、別れるのは早すぎるし。それに…

二人の立ち直りも早くない?」

「えっ?」

「いや、別れたわりには二人とも普通っていうか…。
これまで通り…っていうか…。

二人は本当に相手の事が好きだったのかな? なんて…」


『那子なら嬉しいって泣いてくれるって。
那子なら、って…』

『好き』


「好きでしたよ!!!」

じゃなきゃ…二人を見て…


苦しい想いをするわけない。

「うっ…」

「もう…。何で、泣くのよ…」

「変な事…うっ…言う…うっ…からですよ」

「ごめんなさい…」


「良かったんじゃないの?」

「へっ?」

「苦しかったでしょ?」

「今…うっ…も…
苦し…ううっ…いで…うっ…す」
< 101 / 120 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop