青涙
そうだった…。

いつもお姉ちゃんが

『那子はオレンジジュースが好きだよね』

『那子はTUKIKAGEのファンなんでしょ?』

そう言って

私は『うん』って言ってた…。

あれは全部お姉ちゃんが本当に一番好きな物だったんだ…。

それをずっとお姉ちゃんは私も好きだと勘違いして今まで私に譲っていた…。


「お姉…うっ…ちゃん…ごめ…うっ…んなさい…」

そのせいでずっとお姉ちゃんは我慢して…。

「私…」

辛い思いをしてきたんだ…。

ちゃんと言わなきゃ…。

今まで…言わなかった事を…。

「一番…うっ…好きな…ううっ…歌手は…うっ…四士舞」

TUKIKAGEじゃない。

「一…ううっ…番好…うっ…きな…ううっ…科目は…うっ…英語」

国語じゃない。

「一番好…ううっ…きな季…うっ…節は秋」

春じゃない。

「一番好…うっ…きな食べ…ううっ…物は…うっ…冷麺・マスカ…ううっ…ット」

餃子じゃない。

「一…うっ…番好…ううっ…きな…うっ…花は…ううっ…水仙」

コスモスじゃない。

「私が…ううっ…本当…うっ…に一…ううっ…番好…うっ…きな物は…ううっ…お姉…うっ…ちゃん…ううっ…が一番…うっ…好きって…ううっ…言って…うっ…いた物なの」
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