青涙
「教えてやろうか? 俺の好きなタイプ。」

「いい」

「同じクラスの北田芹(きただせり)。知ってるだろ。同じクラスだし」

「知ってるけど。
私、さっき“いい”って言ったよね?」

「北田はスタイルがいいよな」

「…そうですか。私もあんたが好きだけど」

「悪いな。無理」

「こっちだって無理よ!!
あんたは私のタイプじゃないし!!
男として見た事なんて一度もないんだから!!!」

「女として見てたのか?」

「平太!!!
ううっ…」

「まあまあ、怒るな。泣くな」

「あんたのううっ…せいじゃんか!!!」

「そうだな。ちゃんと教えてやるから。
怒るな。泣くな」

「あんううっ…たの好きなタイプううっ…はいいってば!!!!」

「それはさっき教えただろうが。
今から教えるのは…


変人のことだ」

「変人…ううっ…って…」

「お前じゃなくて、魔王みたいなやつのことな。
前にお前が言ってた変人の行動が本当なのか、未子に聞いてみたんだ」

「っ…で?」

「本当だった。でも、木に登ってたのは…」


『木に登ってたのは、木の上に野球ボールが挟まってたからそれを取るために登ったって。それが落ちてきて誰かに当たったら、その人が痛いからって』


「で、怪しげな言葉は…」


『インドネシア語。インドネシアが好きだから覚えてるって』


「で、人体模型に笑いかけていたのは…」


『小学校の時の友達に似てるって。あまりにも似すぎてて見ると笑っちゃうみたい』

「あと、お前の涙をトイレットペーパーで拭いて、自分のポケットに入れてたのは…」


『それね。見せられた時、びっくりしたんだけど…』
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