青涙

『真洋はこれだけ那子が泣いてて、悲しいんだって。
私に教えたかったみたい』


「じゃあっ…紙が…トイレットペー…っパーだったのは?」

「それは…」


『ただ単にトイレットペーパーのほうが涙を吸収しやすいと思ったんじゃない?』

「…そう…」

「確かに奴は変わった行動をしてるけど、ちゃんと意味があるみたいだ。

俺はスゲー良い奴だと思うけど?」


そう…みたい。


キーン、コーン、カーン、コーーン。
キーン、コーン、カーン、コーーン。

変人だ。

休憩時間になり、トイレをすませて出てくると、あの変人を見つけた。

学校の中央広場の地面で寝ている変人を。

あれにも意味があるんだろうか?

いや…ないな。

その時、変人に近づいていき、隣に座った人が。

お姉ちゃん…。

体操着を着たお姉ちゃんはしばらく変人の寝顔を見つめると



笑った。


お姉ちゃんが…



笑った。


お姉ちゃんが…




笑った!!


普段なかなか笑わないお姉ちゃんが

変人の寝顔を見ただけなのに笑った。

まるで…

『那子!!』

『お母さん!!』


私達、家族に見せる笑顔と一緒。

お姉ちゃんはそれだけ

あの変人の事を…。
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