青涙
お姉ちゃんは突然、立ち上がると体育館に向かって走っていった。

時計を見ると、4時限目が始まるまであと3分。

私もそろそろ教室戻らないと…。

あいつ…サボる気なのかな?

いくら変人でも、授業サボっちゃダメでしょ!

起こそう!!

…っていうか、お姉ちゃんが起こせば良かったんじゃ…。

慌てて忘れちゃったのかな?

「ねぇ、起きて!!
授業始まるよ!!!」

反応なし。

「ねえ!! 起きて!!」

反応なし。

私は隣にしゃがみこむとさっきよりも大きな声で。

「ねえ!!! 起きて!!!」

反応なし。

どれだけ熟睡してるんだ?

「ねえ…」

お姉ちゃんはあんたの事大好きだよ。

変人なあんたの事、大好きだよ。

「好き?」

「好き」

えっ?

「起きてるの?」

反応なし。

「ねえ!!!」

反応なし。

相変わらず目はつぶられたまま。

寝言かな?

でもはっきり聞こえたんだけど…。

どんどん顔を近づけていくと

「わっ!!!」

変人の二つの目が開いた。

びっくりしてのけぞっている私に目もくれず、変人は体を起こすと、走り去っていった。

速っ!!!

結構な速さで。

のろそうに見えるのに…意外。


キーン、コーン、カーン、コーン。
キーン、コーン、カーン、コーン。


遅刻じゃん!!!
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