青涙
「全問不正解とはね…。一問ぐらいは当たると思ったんだけどな…」
「季節の問題の答えは驚いたよな」
『好きな季節は?』
『………』
『春、夏、秋、冬。
未子は何が好きだと思う?』
『…全部』
「俺がわざわざ一つずつ季節を言っていったのに。
答えが“全部”だもんな。笑っちまったぜ」
「あながち間違えじゃないんだけどね。
春は花見が出来るし、夏はスイカ割りが出来るし、冬はスキーが出来るから」
「じゃあ、答えを全部にしろよ」
「ダメです。その中でも一番秋が好きなんだから」
「何で? 月見が出来るから?」
「教えない」
「何でだよ。教えろよ」
「じゃあ、好きな魚当てたら教えてあげる」
「魚? マグロ?」
「違う」
「鮭?」
「違う」
「サバ?」
「違う」
「分かった…。アジだ!!!」
「違~う~」
「じゃあ、ウナギ!」
「違う」
「じゃあ、タイ!」
「違う」
「それじゃあ…ヒラメ!!」
「諦めたら?」
「違うのかよ。じゃあ…」
「違う」
「まだ何も言ってないぞ?」
「違う」
「お前…一人で帰れよ」
「うん。帰るよ」
「泣きながら帰るのか?」
「昔の話でしょ?」
「最近もあっただろうが…1カ月前だっけ?」
「あれはあんたが何も言わずに先に帰ってたからでしょ?」
「だからって泣きながら帰るかよ」
「ううっ…うる…ううう…さい!!!」