青涙
「あっ…」

視線に気づいたのか彼女がこっちを見ている。

そして、笑いながら手を振った。

もちろん私にじゃない。

「おい! 北田が俺に手を振ってるぞ!」

「違…ううっ…う」

平太……でもない。

手を振ってるのは平太の隣にいる…。

「俺、聞いてくるぞ!!!」

「ちょっ…ううっ…」

止める前に行ってしまった平太。

彼女は笑いながら対応してくれてるみたいだ。

…デレデレしちゃって…。



そんな事より…気になる。

さっき彼女が手を振ってたのは明らかに平太じゃなく


変人にだった。

一体彼女と何の関係が?

「ねぇ…」

「そうだってさ!!!
女は好きな人に好みを知ってもらいたいんだって!!!」

…邪魔が入ったぁ……。

「嬉…ううっ…しそ…うううう…うね?」

「超うれしーに決まってんだろ!!!」

「…ううっ…そう!」

「何、怒ってんだよ。
あっ! もしかしてヤキモチか?」

「…はっ?」

「…ヤキモチ…」

「ヤキモチって分かるか? 焼いてる餅じゃないぞ。
好きな人が異性…異性っていうのは、男なら女、女なら男の事だ。その異性と一緒に居るのを嫌と思う気持ちがヤキモチだ!」

「あの…ううっ…ね。わ…ううう…たし、ヤ…うううう…キモチ…ううっ…妬い…うう…てな…ううう…いん…ううっ…だけど…」

「妬いてるだろ。
お前も妬かれるから気を付けろ」
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