青涙

『二人きりにはあまりなるな』 

昼にはそう言ってたくせに…。

『あれ? あの子北田じゃね?』

平太が私達の前を歩いている私と同じ制服の女子を指さす。

『そう言われても…
分かんないんだけど…』

後ろ姿で判別出来るわけないじゃん。

『絶対そうだ…。あの俺好みのスタイルを持つ後ろ姿は彼女しかいない!』

『じゃあ…彼女なんじゃない?』

『だよな? 彼女だよな?
あんなスタイルの良い子が一人で帰るなんて危険だ。
俺が一緒に帰ってあげよう』

『いや、あんたと居る方が危険…』

『魔王。那子の事、頼んだぞ。
北田さ~~~ん!!!』

平太は彼女を追いかけていき、私達を二人きりにした。

本当…テキトーなんだから。

それに“魔王”じゃなくて“真洋”でしょうが。

真洋?

そういえば私、一度も名前で呼んだ事ないな。

いつも

『変人』

『変人』

『変人』

“変人”ばかりだな。

私も変人なのに…。

「真洋…」

「何?」

「えっ?」

「…何?」

「まよ…迷うんだよね。よく公園とかでさ。
そっちは?」

「…迷わない」

「そ…そっか…」

私、はぐらかすの下手すぎ!!
< 24 / 120 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop