青涙
『二人きりにはあまりなるな』
昼にはそう言ってたくせに…。
『あれ? あの子北田じゃね?』
平太が私達の前を歩いている私と同じ制服の女子を指さす。
『そう言われても…
分かんないんだけど…』
後ろ姿で判別出来るわけないじゃん。
『絶対そうだ…。あの俺好みのスタイルを持つ後ろ姿は彼女しかいない!』
『じゃあ…彼女なんじゃない?』
『だよな? 彼女だよな?
あんなスタイルの良い子が一人で帰るなんて危険だ。
俺が一緒に帰ってあげよう』
『いや、あんたと居る方が危険…』
『魔王。那子の事、頼んだぞ。
北田さ~~~ん!!!』
平太は彼女を追いかけていき、私達を二人きりにした。
本当…テキトーなんだから。
それに“魔王”じゃなくて“真洋”でしょうが。
真洋?
そういえば私、一度も名前で呼んだ事ないな。
いつも
『変人』
『変人』
『変人』
“変人”ばかりだな。
私も変人なのに…。
「真洋…」
「何?」
「えっ?」
「…何?」
「まよ…迷うんだよね。よく公園とかでさ。
そっちは?」
「…迷わない」
「そ…そっか…」
私、はぐらかすの下手すぎ!!