青涙
さっきはびっくりした…。

心の中で言ったつもりが口に出てたなんて…。

『真洋…』

びっくりした…。

『何?』

変人がかっこよく見えるなんて…。


目が悪くなったのかな?

スマホの見すぎかも、気を付けよう。

そういえば…。

「ねぇ。何で今日はお姉ちゃんと帰らないの?」

いつも一緒に帰ってるって聞いたんだけど。

「……“一緒に帰ろうぜ”って先に言われたから」

「先にって…お姉ちゃん、迎えに来てたの?」

平太がコクリと頷く。

「それなのに断ったの?」

平太がまたコクリと頷く。

バカ……。

「今度から断ったらダメだから!
先じゃないからとかで断ったらダメだから! 絶対!!
分かった?」

「…分かった」

全く…彼氏なのに何してんのよ!

彼氏…。

そうだ。この変人、彼氏じゃん!

「あのさあ。お姉ちゃんとはいつどこで知り合ったの?
どっちから告白したの? 付き合ってから今日で何日目?」

「……」

「教えてよ。
本当はお姉ちゃんに教えてもらいたかったんだけど、お姉ちゃん恥ずかしがって教えてくれなくて…。
お願い! お姉ちゃんの事なら何でも知りたいの。だから、お願い!! 教えて!!!」

「…分かった…」

「本当? 
お姉ちゃんといつどこで知り合ったの?」

「…」

あれ?

「じゃあ…どっちから告白したの?」

「……」

あれれ?

「じゃあ……付き合ってから今日で何日目?」

「………」

あれれれ?

もしかして…。

「覚えてないの?」

変人がコクリと頷く。

嘘でしょ?

「ちょっと…覚えるのがいくら苦手でもそんな大事な事を覚えてないなんておかしいよ。
本当にお姉ちゃんが好…」

「好き


好き」

「なら、何で覚えてないの?
一体お姉ちゃんの何を覚えてるのよ!!!」
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