青涙
すると、変人は近づくのを止めて、私の顔を見て

「…止まった…」

そう言って笑った。

笑った顔…初めて見た。

カワイイ…。

って…そうじゃなくて!

「あんた、私に何をしようとしたの?」

「………」

「私の頭おさえてるでしょ? 何で?」

「…涙をふこうと…」

「ふくもの持ってないじゃない」

両手とも私の頭をおさえてるでしょうが!!!

「…トイレットペーパーの紙は今日はなくて…だから…」

「だ・か・ら?」

「…なめてふこうかと…」

「つまり…あんたは私の涙を舌で…」

汚なっ!!!

「二度とやらないで!!! 一生やらないで!!!!」

「…分かった」

「手…どかして!!」

変人が私の頭を解放する。

こんな変人の笑顔をカワイイと思うだなんて…目が悪くなっただけじゃなくて、頭まで悪くなったの?

元々そんなに頭よくないのに悪くなってたら困るんだけどな…。

『…止まった…』

両頬に触れてみる。

本当だ…。完全に止まってる…。

これって……。

「…ありがとう」

「………」

「やろうとした事はダメな事だったけど。それのおかげで涙止まったみたいだから。一応お礼を言っとく」
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