青涙

「…そういえばさ。昼休みに私が泣いてた時はしようとしなかったのに、さっきは何でしようと思ったわけ?」

「…離れて歩けって言われたから…」

「離れて歩いてもいいじゃん」

「…頼まれたから」

『魔王。那子の事、頼んだぞ』

そんなの…平太がテキトーに言っただけだよ。

なのに…真に受けないでよ。



「おい…昨日どうだったか聞けよ…」

「別に興味ないんですけど…」

「魔王は…聞きたいよな?」

「聞きたくないよ…」

「…聞きたい」

「はっ?」

「だろ? さすが魔王様。

実はさ。昨日、俺追いかけたんだけど…」

『待って!! 北田さん!!』

『私…西田ですけど…』

「北田さんじゃなかったんだ」

「何て言ってたっけ? 俺好みのスタイル…の後ろ姿は彼女しかいないとかなんとか言ってたよね?」

「魔王。言ってたっけ?」

「………」

「言ってないな」

くそー。あいつ本当に覚えるのが苦手すぎ!!

「お前らはあの後どうだったんだよ」

「どう…だったって?」

「何もなかったのか?」

「何も…なかったに…決まってるじゃん…」

「魔王。何もなかったのか?」

聞いたって、どうせ覚えてな…。

「…怒られた」
< 29 / 120 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop