青涙
「…そういえばさ。昼休みに私が泣いてた時はしようとしなかったのに、さっきは何でしようと思ったわけ?」
「…離れて歩けって言われたから…」
「離れて歩いてもいいじゃん」
「…頼まれたから」
『魔王。那子の事、頼んだぞ』
そんなの…平太がテキトーに言っただけだよ。
なのに…真に受けないでよ。
「おい…昨日どうだったか聞けよ…」
「別に興味ないんですけど…」
「魔王は…聞きたいよな?」
「聞きたくないよ…」
「…聞きたい」
「はっ?」
「だろ? さすが魔王様。
実はさ。昨日、俺追いかけたんだけど…」
『待って!! 北田さん!!』
『私…西田ですけど…』
「北田さんじゃなかったんだ」
「何て言ってたっけ? 俺好みのスタイル…の後ろ姿は彼女しかいないとかなんとか言ってたよね?」
「魔王。言ってたっけ?」
「………」
「言ってないな」
くそー。あいつ本当に覚えるのが苦手すぎ!!
「お前らはあの後どうだったんだよ」
「どう…だったって?」
「何もなかったのか?」
「何も…なかったに…決まってるじゃん…」
「魔王。何もなかったのか?」
聞いたって、どうせ覚えてな…。
「…怒られた」