青涙
覚えてるの?

「怒られた? 変な事でもしたか」

「…なめ…」

「なめ?」

「なめくじのマネを始めたの! 駅前でいきなり!!
だから、私怒ったの。忘れてた」

「忘れてた…ね…」

「そうだ! 忘れる所だった。これ!」

変人に渡す。

「お姉ちゃんの好きなものを全部ノートにまとめたの。
テストはもうしないから安心して」

覚えるのは苦手って十分すぎるぐらい分かったしね。

「これ全部書くの大変だったんじゃないのか?」

「別に…」

朝方までかかったんだけどね。

でも、全然眠れなかったし…何も考えなくて済んだから良かったっていうか…。

「…ありがとう」

笑顔…見せないでよ。

あんたの事…考えたくないの。

考えたくないよ…。

「おい。何で泣いてんだ?」

「ううう……うううう…」

「あっ! 分かった!!
お前魔王に感謝されたのが嬉しくて泣いてんだな」

「ううっ…うううう…」

お願い…。

お願いだから…。

近づかないで…。


「おっ。トイレットペーパー復活か?」

変人がトイレットペーパーの紙で私の涙をふきとっている。

「おっ。嫌がらないのか?」

「止…ううっ…めて!!!」

バシッ!!!
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