青涙
「…教えて下さい」

「だか…うっ…ら…言わ…ううっ…ないって…うっ…ば!」

「…教えて下さい」

「あっ! お母…うっ…さん…うっ…の誕…うっ…生日…うっ…教え…うっ…てあげ…うっ…る。
12…うっ…月3日…ううっ…で、プ…ううっ…レゼン…ううっ…トを渡す…うっ…とし…うっ…たら…」

「…教えて下さい」

「何でも…うっ…喜ぶか…ううっ…な?」

「…教えて下さい」

教えない…。

「でも、…うっ…明ら…うっ…かに…うっ…変な…うっ…物は…ううっ…渡さ…うっ…ないで…うっ…ね」

絶対に……。



「ただいまー」

家に帰ってくるなり、ソファに横たわる私。

変人は何で私の誕生日が知りたいんだろ?

あの後もしつこいほど聞いてきたし…。

何で?

あーもう!

考えたくないのに…。

ふとテレビの上に置かれているカレンダーが目に入る。

今日は13…。

明日は14…。

14……。

「あっ…」

14日。

明日は私の誕生日じゃん!!!

全然気づかなかった……。

去年の誕生日はいつも通り家族3人で餃子パーティーして

お母さんからの誕生日プレゼントはいつも通り手作りの編み物(腹巻き)。

未子からの誕生日プレゼントはいつも通りTUKIKAGE(四士舞の次に好きなボーイズグループ)のグッズ。

今年もいつも通り…だよね?

「那子…寝てるの?」

「お姉ちゃん!!」

突然のお姉ちゃんの声にびっくりして、慌てて体を起こす私。

「“ただいま”って言ったけど、返事が無かったから、また寝てるのかと思った」

「ごめん…。考え事してて…」

「何を考えてたの?」

「何って…」

「もしかして、好きな人の事とか?」

「そ…そんなわけないじゃん!!
私…居ないもん」

「本当に?」

「お姉ちゃん…。ううっ…」

「ごめん、ごめん。早く泣き止んで。そして一緒に行こう」

「ど…ううっ…こに?」
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