青涙
「ここって…」
大型ショッピングモール!!
どうして…。
「那子! 何突っ立ってるの?
中入るよ?」
「うん…」
おかしいな…。
お姉ちゃん、人ごみ嫌いだし、遠い距離を歩くのも嫌いだから、大型ショッピングモールは大っ嫌いだったはず…。
実際、今日まで一度も来た事なかったし…。
なのに突然来るなんて…。
「那子! こっち!!!」
「うん…」
お姉ちゃんが入った店に続けて入ると
店の中にはたくさんの男性物の洋服やアクセサリーが置かれていた。
「あの…お姉ちゃん…」
「あった!!」
そう言うとお姉ちゃんが一着を手に取る。
「このパーカー。ネットで見つけて気に入ったんだけど、在庫がなくてさ。でも、ここに売ってるって人に聞いて…」
「そうだったんだ…」
なるほど…そういうわけか…。
「どう?」
「うん…。黒で…シンプルで…」
似合いそう…。
「いいん…じゃない?」
「でしょ? いいでしょ?」
「うん…」
きっともっと…かっこよくなる…。
「へ…東間くんに…あげるの?」
「うん。誕生日プレゼントにね。
明日だから」
「明日?」
嘘……。
「同じなんだ…。
すごいね…」
「同じって何が?」
「何…って」
「誕生日が? 誰か一緒の人が居るの?」
お姉…ちゃん?
「誰? 私の知ってる人?」
「…神崎と…一緒じゃなかった?」
「四士舞の神崎くん? 違う。違う。
神崎くんの誕生日は9月24日だよ」
「そう…だっけ?」
「そうだよ。神崎くんの大ファンの私が間違えるわけないでしょ?」
「そう…だね。
私…うっ…トイレ…行って…ううっ…来る…」