青涙


「ぁ…ぁ…あの、すいません!」

「…はい…」

「閉館の時間です」

外に出ると、スマホで時間を確認する。

「7時か…」

久しぶりに町立図書館に来て、本を読むつもりが1冊もまともに読む事なく寝てしまった…。

10時ぐらいに帰るつもりだから…。

「あと3時間か…」

ぐぅぅぅぅぅ………。

「お腹空いた…」

コンビニでおにぎりでも買って食べようかな…。

スカートのポケットに手を入れる。

……あれ? ない…。

鞄の中かな?

鞄の中もくまなく探してみるが…。

……ない。

家に忘れた?

学校の昼食はいつもお母さんの手作りの弁当と、飲み物は水筒に入れて持っているから、今まで気づかなかった…。

平太にお金だけ貰えば良かった…。

ぐぅぅぅぅぅ…。

どうしよう…。

平太の家に行って何か食べ物を…。

ダメ…。

あいつの事だから、根掘り葉掘り聞いてくるはず…。

『今年はお前の誕生日パーティーないのか?
もしかして忘れられた?』

そして、私は泣き、お姉ちゃんが傷つく…。

最悪だ…。

「そうだ…」

鍵を忘れて家に入れないって言えばいいんだ!

でも…あいつの事だから、鞄の中隅々まで探りそう。

『ちゃんと探したのか?
ほら、あった』

あっ、鍵はスカートのポケットの中に入れておこう!

ここはさすがに探らないでしょ!

『キャッ! ちょっと…』

『どれどれ~…。あんじゃん』

ありそう!

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