青涙
鍵、捨てる?

ダメだよ!

誰かに拾われて家に侵入されるかもしれない。

鍵で家は分からないか!

いや、分かるような技術とか出来てるかも…。

ああ…もう!

「お腹空いた!!!!」

大声を

出してもお腹

空いたまま

なんか五・七・五になってるね…。

「ううっ…。家に…ううっ…帰り…うっ…たい…」

帰りたいけど…帰っちゃダメ…。

ダメ…ダメ…ダメ…ダメ…。

ゴンッ!!

「痛っ!!!」

何かにぶつかり目をあけると

目の前にはジャングルジムが。

私は気づかないうちに公園に来てしまっていた。

懐かしい…。

小学生の時は未子と平太とよく遊びに来てたな…。

そして、よく泣いてたな。

鉄棒から落ちて、痛くて泣いて…。

砂遊びで顔が汚れて、汚くて泣いて…。

ブランコに乗って、スピードが早くて泣いて…。

ジャングルジムに登って、降りられなくなって泣いて…。

楽しくて泣いた事なんてなかったな…。

だけど…

鉄棒の側にあるベンチを見つけると座る。

嬉しくて泣いた事は一度だけだけどあった…。


『ねぇ、お姉ちゃん。
私はずっと“変人”ってからかわれるのかな?』

『ずっとじゃないわ。今だけよ』

『本当?』

『本当よ。世の中には那子より変わった人なんて沢山いるもの』
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