青涙
「考えてなかったよ! 真洋を早く紹介したい。それしか考えてなかった。…悪いと思ってるよ。言わなくてごめんって……。でも、那子なら嬉しいって泣いてくれるって。那子なら、って…」

「おううっ…姉ちゃ…ううっ…ん」

「ごめんね…。那子…」

そう言うとお姉ちゃんは自分の部屋に行ってしまった。

「未子! 未子!」

それを追いかけるお母さん。


お姉ちゃん……悲しそうだった……。

『那子なら嬉しいって泣いてくれるって』

私の…

『那子なら、って…』

私のせいだ…。

「ううっ…うううううう………」

ごめんね…。

傷つけて…。

ごめんね…。


お姉ちゃん…。



「それから夜中まで泣き続けたっていうのもすごいが。
お前のそのひどい仕上がりの顔もすごいな」

「あんまりジロジロ見ないでよ。いつもの顔でしょ」

毎日泣く私の顔はいつも目が赤く腫れていて、鼻が赤い。

「いや、いつも以上にひど…」

「分かってるよ! 自分がひどいって!
顔も休みなのに朝から人の家に乗り込んできて眠りを邪魔した事も!」

「うん。ひど…」

「ひどいよね、私。お姉ちゃんに彼氏が出来たのに、好きな人と付き合える事になったのに、私、祝福して、嬉しいって涙を流すどころか、反対して、悲しいって涙を流しちゃった…。

お姉ちゃんを…傷つけちゃったよおおお…ううっ…」
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