青涙
そのすぐ後に

ガシッ!!

と、変人に左腕を掴まれたかと思うと

グイグイと引っ張られていく。

「へ…東間くん!
どうしたの?」

「……」

「東間くん!!」

「……」

「東間くん!!
止まって!!!」

「……」

本当に…

どうしちゃったの?

「そうだ…。
お姉ちゃんを置いていくの?
一緒に帰るでしょ?」

「帰らない…」

「何で…」

『じゃあ、何で無視したの?』

『あんたも…
無視した理由が分からないって事?』

まさか…。

「私を無視した理由なんて…もういいよ…。
分かんなくてもいいから…」

「………」

「私…気にしてないし…。
へ…東間くんも…気にしないで…」

「………」

「あっ!!
ねぇ!! 校門の前、過ぎたよ!!
戻って!!」

「………」

「戻っててば!!!」

変人が急に立ち止まり

後ろを振り向く。

「二人が…いい…」

私と変人の視線が交わる。

私は…

視線を逸らす。

「でも…。平太に待ってるって…言ってあるし…。
二人で帰るのは…って…えっ?」

変人はまた突然私の左腕…

じゃなくて今度は私の左手を握ると

歩き出す。

「へ…東間くん…。
平太が…」

「………」
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