青涙
「見なさいよ!
平太くんにも見るように言うから」

「お母…うっ…さん。
言っても…うっ…無…ううっ…駄よ」

「どうして?」

「私は…平太の…ううっ…タイプ…うっ…じゃない…うっ…のよ」

「そうなの?
平太くんの好きなタイプってどんな人なの?」

「…スタイ…うっ…ルが…良い…うっ…人…」

「スタイル……」

「うん…」

「好きなタイプに当てはまらないんじゃ…
言っても無駄ね」

「でしょ?」

スタイル悪くて良かった…。

「そうだ。
那子の好きなタイプってどんな人なの?」

「好きな…ううっ…タイプ」

あいつだよ。

「うん。
教えて」

会った事あるよ。

「私の…好きな…ううっ…タイプは…」

変人。

「優し…ううっ…い…人…」

「優しい人…」

あいつも…優しいけど。

「平太くんじゃない!!」

「ちょ…ううっ…っと…
お母…うっ…さん!」

ガチャッ。

バンッ!!!

「あっ。
未子が帰ってきたみたい」

バタバタバタバタ…。

「未子、おかえりー」

バンッ!!!!

「あら?

自分の部屋に…行っちゃったわ…」

変だ…。

いつもお姉ちゃんは外出から帰ってくると必ずリビングに来て私達に

『ただいま』

って言うのに…。

「…何か…あったのかしら?」
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