青涙
「今日はどうしたの?」

「ああ…。一緒に学校に行こうかと」

「一緒に?
どうぞ、どうぞ、連れて行って…」

「はい、連れていきます」

「あの、平太くん。
スタイル良くないと…ダメかしら?」

「えっ?」

「スタイル良い子じゃないと…付き合えないのかしら?
もし、そうじゃないのなら、那子を…」

「行ってきます。お母さん。
行こう。平太」

「那子を女として…」

「女?」

バシッ。

「痛っ!!」

「行く!!」

「分かったよ! 行くよ!!
失礼します。
頭、叩くなよな…」

「平太くん!
大丈夫?
どうか、那子を女として見て…」

「行ってきまーす!!!!」


「おばさん、どうしたんだ?
お前を女として…」

「何でもないから。
忘れて」

「じゃあ、忘れる。
で、さっきの話だけど…。
お前は昨日…
魔王と帰ったのか?」

「それは…」

「どうしてだ?
いつもは魔王、未子と帰ってただろ」

「それは…」

「まさか。
まさかとは思うけど魔王はお前を…」

公園の前を通りすぎようとした時。


見つけた。

「変人…」

「好きなんじゃ…」

その平太の言葉を聞く事なく。



私は彼を追いかけていった。
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