青涙

『…よいしょ…』

私は今、木に登っている。

木登りなんて小学生以来だ。

高校生になってやる事になるとは考えもしなかった。

あの変人のせいだ…。

私は下の方でただジーっと見つめて立っている変人を睨み付ける。


『『私がやるから!!!』』

言っても、変人は降りないか…。

私、一応女だし。

落ちたら危ないとか心配するもんね。

そう予想してたのに

予想に反してすぐに降りた変人。


心配ぐらいしなさいよね!

待って…。

ある事に気づいた私は登る手を止める。


私…制服だね…。


という事は…下はスカート。


スカート…。

まだ見上げている変人。

あれが…見えてるんじゃ…。

いや…見えてたらあんな無反応なわけないよね。

でも…変人だから見えてても無反応なだけでかも…。

見えてるんだとしたら、どうしよう…。

何にしたんだっけ?

花柄? 違う…。

星だったような…。

ってどれでも、見えてたら嫌だつーの!!

とりあえず…


降りるか…。


降りようと足を動かした瞬間…。


『あっ…』

足を滑らせてしまい


私は落ちてしまった…。


変人の胸の中に。


お姫様だっこというやつだ。

『ありが…』

感謝も言い終わってないのに

変人は私を地面に着地させ

木に足をかける。
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