青涙
『空志宝町…』

それって隣の隣の町の名前じゃん!!!

『その友達は…生きてるんだね?』

『クックッ…クックッ…』

変人は笑いながら頷いた。


“空”を言った後に間が大きすぎるんだよって思ったな…。


何度も、何度も思い出す度に思う。


好きだとだと気付く前が楽しかったと…。


そして、こうも思う。


私はこの時からすでに好きになっていたのかもしれないと…。



「何で、あんたもついてくんのよ。
本、読まないでしょ?」

「読まないけど」

「じゃあ、ついてくんな」

「読まないけど、借りる」

「読まないなら、借りるな。
迷惑」

「読まないし、借りないけど。
ついてくな」

「ついてきたら…。
痛くないビンタして…」

「俺は教室で寝とくわ。
じゃ!!!」

痛くないって言ってんのに…。

よっぽどビンタが嫌なんだな…。



図書館につき、ドアを開けようとした瞬間。


ドアが開いた。

変…人…。

変人は無言のまま

私の横を通りすぎていった…。

変人とはあの日から

関わらなくなった。

一緒に居る事も…

話す事も…

全くなくなった…。

「うっ…ううっ…」

…ダメだ…。

変人を見るとまだ泣いてしまう。

『悲しい涙…


見たくない…』

あなたはそう言って私から離れていったのに…。


あなたが離れていった今も私は…。

悲しくて…


泣いています…。
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