恋の歌が響くとき
大切なものを守るため
生暖かい空気の漂う八月の朝。
強い太陽の光が徐々に建物の間を埋めていくのを眺めながら、駅で電車が来るのを待っていた。
先ほど始発が発進したため、いつもは騒がしいホームも今は酷く静かだ。
涼しい時間帯に電車に乗ろうとまだお日様が上りきらないうちに家を出たのはいいが、予想以上に早く着いてしまった。
いつもと何も変わらない風景をざっと目でなぞった後、手に握りしめたスマートフォンを起動させ、赤いイヤフォンを耳に押し込んだ。
音楽でも聞いて残りの時間を潰そう。