恋の歌が響くとき
「零ちゃん!これあげる!」
時刻は朝の七時。
夏休み真っただ中の学生たちが補講を受けるため疲れた顔で登校してくる姿を横目に、クーラーの効いた教室で音楽雑誌を読んでいた。
私はかろうじて補講を免れたものの、数学の苦手な凛と英語でBANをくらった空は見事に補講組に選ばれてしまい、今はその付き添いでここにいるというわけだ。
どうせ午後からはリヴァーの練習もあるし、早起きは嫌いじゃないからな。
とまあ、そんなわけで周りの生徒たちより幾らかリラックスした状態で雑誌を読んでいたとき、不意に現れた凛が「おはよう」も言わずに私にブランドのロゴが入った袋を差し出した。
綺麗に切りそろえられた髪を揺らす凛は今日も最高に可愛い。