恋の歌が響くとき
「空からは指輪なんて貰ったことないよ?」
「そうなの?なんか意外ー」
「空と凛は別に付き合ってるわけじゃないもん」
「でも凛ちゃんって川辺君のこと好きなんじゃないの?」
なんてことを言い出すんだ。
今まで「空のことをどう思ってるか」なんて凛の口から直接聞くのが怖くてずっとその話題だけは避けて来たっていうのに。
悪気のないその単純な質問の答えを私は聞きたくなんてないのに、気が付けば無意識に凛の方を見つめていた。
「川辺君ってかっこいいだけじゃなくてみんなに優しいし、ベース引いてるとことか特に好きなんだけど」
「あんたじゃなくて凛ちゃんに聞いてるんだってば」
あはは、そうだったねーと笑うポニーテールに凛が屈託のない笑顔をみせる。
ダ、メだ。
言わないで凛。お互いが想い会ってるなんて聞いたら私は、もう。