恋の歌が響くとき
 
野外ステージというのは初めてだったが、どうして人気バンドの人たちが外で音楽をやりたがるのかが分かった気がした。


室内とは違う開放的な音に、いろいろな所から降ってくる声援。これが最高じゃないわけがない。メンバーと時折目線を合わせながら楽しい気持ちをそのまま楽器に乗せていく。


しかし、いい時間というものは総じてほとんど一瞬にして終わるもので、気が付けば次でラストの曲だった。



「えーっと、それでは次が最後の曲です」


MCを務める凛に会場からえーっと残念そうなブーイングが響く。


「ははは、皆さんありがとうございます。それじゃあ次――と行きたいところなんですが、次の曲はなんと我らがベース兼リーダーの空くんが歌ってくれます」

 
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