お前は必ず、俺を好きになる。
「ゆーずは!焼きマシュマロしようよ!さっきそこのスーパーで一毅と買ってきたの!」




「莉子、もしかして一毅と二人でいったの?」




「え?うん」




ケロっとしている莉子だけど、前までは莉子が一毅と二人で買い物、なんてことはありえなかった。

……近いうちまたカップルができたりして?




「ちょっとユズ、何ニヤケてるの?なんか変なこと妄想してるでしょ!」




「ふふふ、なんでもなーい!マシュマロやこう!」




「え、ちょっとユズ」




「せんぱーい!!マシュマロやいていいですかー!」




私は莉子の手から奪ったマシュマロの袋を持って宇佐美先輩のところへ走った。




「ん?どうしたの柚葉ちゃん、ニコニコして」




彩葉の彼氏、宇佐美先輩。いい意味で高校生には見えない大人っぽさ。焦げ茶色の髪にカジュアルな服、大学生みたい。


実際、大学生の美愛カレとも同い年に見えないこともないしね。




「莉子と一毅がマシュマロ買ってきてくれたので焼こうと思って!」




「いいね、おいしそう!今サッカー部のやつらに肉取らせるからちょっと待ってね?おーい、純!肉とりにこいって言ってきて」




「はーい」




手際もいい…さすが部長。尊敬するなあ。




「りょーうー!浮気?泣くよ?あたし」




宇佐美先輩の後ろから彩葉がギュウっと抱き付いた。




…わあ、ラブラブ。てか彩葉が別人過ぎてやばい……




「浮気なんかするわけないだろ?ってか柚葉ちゃんじゃん」




「柚葉でもだーめ!亮は彩葉のぉ~」




…なんか彩葉、酔っ払いみたい。




「あはは…うわっ」




後ろから私のお腹に腕が回り、グイッとひきよせられた。




「柚葉、浮気すんの?俺やめて亮先輩に乗り換える気?」




耳元で甘い、どこか寂し気な声が聞こえ、びくっと肩を揺らした。

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