お前は必ず、俺を好きになる。
「ちょっと…渚まで何言ってんの?頭おかしくなっちゃった?」



「おかしくねえよ」



耳にかかる渚の息が熱く、何とも言えない気分で私は渚の腕をほどこうとする。



「なんで解こうとするんだよ……柚葉、俺のこと嫌い?」




「は…?」




好きだから付き合ってるんじゃん!!って今はそれどころじゃない。




振り向けば渚は赤い顔でボーっとしている。



おかしいよね?絶対!!




「渚、熱あるの?」




渚の額に手を当てるけど、全然熱くない。きっと平熱。




「柚葉ちゃーん!あはは~」




後ろから大学生のOBの先輩がビールの缶を持ってふらふら歩いてきた。




……うーわ、酔ってるなあ…




視線を外せば、すぐ近くでOBの先輩が5人ほどビールを飲んでいる。

そのレジャーシートの上にあるビニールにはビールの缶がギュウギュウに詰まっていて。




「先輩、どんだけ飲んでるんですか?」




「ちょっとしか飲んでないよーん!あははは~」




…絶対いっぱい飲んでるよね。




「もー!酔っぱらいすぎです!お水飲んでください!!」




私は近くのテーブルの上にあったペットボトルのお水を先輩に押し付けた。




「ん…柚葉」




渚は一度ほどいた腕をまた私に回し、優しく抱きしめてくる。




「渚!はーなーれーて!」




その時だった。




ドサッ




渚が急に地面に倒れ込み、意識を失ったんだ。




「な、渚!?」




「もう酔ったのかぁ~弱いな渚は~!あはははは!」




…嫌な予感がする。


もう酔ったのか、ってことはさ…?




「先輩、まさかとは思うけど……渚にお酒飲ませたんですか!?」




「心配すんなよ~あいつちょっとしか飲んでねえし」




飲んでんじゃん!!だから変だったんだよ!!




私は倒れた渚の体をなんとか起こし、体を支えようとしたけどさすがに一人じゃ支えきれないわけで。




「渚!起きてよ!寝ないで!」




すやすや寝息を立てる渚は一向に起きる気配がしない。

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