お前は必ず、俺を好きになる。
私の手を握ったまま渚はまた眠ってしまった。




「ふう……」




そばには大きな桜の木があり、ピンクの花びらがふわふわと散っていく。




「もう桜の季節は終わりか……」




散っていく桜にどこか懐かしさを感じていたとき、手のひらに一枚の花びらが乗った。




中学三年生の春、たしか私は隼人に振られたことをまだひきずっていた。




大好きだった初カレに、高校生になったら一緒にどこに行こうかな、とかたくさん考えていたときにフラれたからか胸の痛みは大きかった。




「なつかしい」




そんなときも励ましてくれたのは彩葉たち3人だった。



やっぱり大事だなあ、あの3人。




いまとなってはもう引きずってなんかいないし、渚のことが好きだから ‟懐かしい思い出” として心の中にとってある。




「……」




渚以外の男の子と付き合うなんて、正直もう考えられない。


それだけ渚が大好きで、大事なんだ。




もし私の世界から渚がいなくなったら人生が真っ暗になっちゃいそう。




「渚……」





渚はどうして私を好きって言ってくれたのかな?なんて、口が裂けても聞けない。


いつか知れたらな……





私は渚のどこが好き?って聞かれたらなんて答えるかもう決めてるよ。



_渚の、 ‟全部” がすきなんだ、ってね




こう考えてみると、好きって気持ちを知れたのは隼人のおかげなんだな




こんなこと言ったら渚が拗ねちゃうかな?なんてね

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