お前は必ず、俺を好きになる。
なんとか力を振り絞って、2フンほどかけてキッチンに到着した。



「は?柚葉?」



物音に気付いたのか、制服姿の渚がリビングから顔を出した。



「……なぎ、さ」




帰ってきてたの……?



「何やってんの?お前。真剣にバカ?悪化するから寝とけって純も言ってたろ?」




「でも夜ご飯……いたっ」




夜ご飯どうするの、と言いかけたところで急な頭痛に襲われた私は座り込んだ。



「はぁ……バカじゃねぇの?」




「なっ」




ふわっ




爽やかなシトラスの香りに包まれ、私は渚にお姫様抱っこされた。




「わっ!?」
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