素直の向こうがわ




「体育祭実行委員を決めたいと思います」


教壇に立つクラス委員が司会進行を始めた。

ホームルームでは、月末にある体育祭の実行委員を決めるらしい。

一学期の終業式でそんなようなことを河野が言っていたのを思い出す。

この月末にある体育祭の実行委員を今頃決めるって、一体どういうスケジュールなんだろう。いくらなんでも近すぎやしないかと思ったけれど、短期集中でそれなりのものを仕上げようということなのだろう。

この学校は、基本的に出来る人間が多いのでそういうことが可能だった。
準備期間が短いからと言って適当にこなす、というのとも違う。
毎年毎年、それはそれで盛り上がっていた。

私は全然盛り上がらなかったけど。


生徒会の下に実行委員があるらしいから、結局生徒会長は全てに責任を持つ立場にある。それは最近知った。


受験生だというのに忙しくなるのかな。


そう思ってまた、隣の席を覗き見る。


受験勉強して、生徒会の仕事をして、そのうえ体育祭もあって、家に帰れば弟の面倒をみて家事をして……。


それでは完全なるスーパーマンではないか。そんなこと可能なのかな。


私に出来ること……。


自然にそんな風に考えてしまって我に返る。


私になんか頼りたくないかな。


でも、何か力になりたいと思ってしまった。

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