素直の向こうがわ
結局、眼鏡男を含めた男子3人が座っていた席に私たちも合流した。
でも、どうやったって仲良くルート決めなんて雰囲気にはならない。
「松本さんたちはどこか希望ある?」
少し怯えたように見て来る一人の男子が声を掛けて来た。色が白くてひょろひょろで、年齢不詳かってくらいに幼く見えた。
「別に……ない」
私はとりあえずそこにいるだけという態度で座る。
さっき自分が放った言葉が、眼鏡男の耳に入ってしまったということに後ろめたさを感じてしまう。それがまた悔しくて、どうしても素直な態度をとることが出来なかった。
「……あ、そう。じゃあ、山口さんと神崎さんは?」
その色白ひょろ男子は、焦ったように今度は2人に助けを求めるようにたずねていた。
「私は、大仏とかお寺なんかより、海とか展望台とかオシャレなお店が並ぶ通りとか、そういうところがいいなぁ」
目の前に座る男子の顔ぶれをまったく無視して真里菜が言う。
眼鏡男を筆頭に真面目そうな3人にとって、そんなルート許しがたいだろう。
「え……。でもほら、レポート書かなきゃいけないし、少しはそういう歴史的建造物も入れておかないと。ね、河野君」
困った表情を滲ませて、最後は眼鏡男に話を振っていた。
眼鏡男とその色白ひょろ男子の不釣合いぶりに、本当に仲がいいのかと疑ってしまう。