素直の向こうがわ



「ほら、順に引いていけよー」


言われるがままに、みんな無言でくじを引いて行く。
最後の方になって、私も仕方なく残りの折りたたまれた小さな紙を取った。


とにかく一番後ろの一番端っこ。


それだけを祈ってくじを開く。

黒板に書かれている座席番号と自分の番号を照らし合わせて席を確認すると、まさに望み通りの位置だった。


「やったー! 後ろの一番端っこだ。やったよ」


すぐさま薫と真里菜のところに駆け寄った。これを自慢しないでいられるわけがない。


「へー……。それはそれは、ラッキーなことで」


そう言いながらも二人とも苦笑いしている。


「なになに? 羨ましいの? まあ、残り物には福があるとはよく言ったもんだよね」


キャハハと笑顔を見せつけて、新しい自分の席へと向かう。

そして、その席に手を掛けた時、見たくない顔が視界に入った。




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