意地っ張りの涙(仮)
驚いたとはいえ、このままでいるのが恥ずかしくなった私は、夏目に背を向け歩き出す。

「私、右側の一階から三階まで見てくるから」

そう言って走り出しそうになるのを堪えて歩く。後ろで見られている気がしたけど振り返る勇気はなかった。


案外早く用具の確認が終わったので保健室へ戻る。

「結城先生も夏目もいないみたいだな…」

さっさと用紙を渡して帰りたかったのに。ふと見た先生の机に紙が置かれていた。

『先に帰ってきたほうは、棚の整理も宜しく 結城』

「えっ!?」

雑用が増えた…。しゅんと落ち込みながら棚を見る。
ごちゃごちゃになっているファイルを見て、やる気が更に失せていく。

フゥッと一つ息を吐き出して整理に取りかかる。


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