意地っ張りの涙(仮)
ちゃんと顔を見たのは一年前だった。私の知ってる夏目とは違って、身長も伸びて見上げなきゃいけない。思ったよりも長いな睫毛とか髪がサラサラだとか声も低くなってるとか…いろいろ変わっていた。

私も夏目から見たら変わっているように見えるのかな?……っていうか、この状況は可笑しくないか!!


「久しぶりにちゃんと顔見えた…!」

夏目が嬉しそうに笑いながら言うから、私もなぜか一緒に笑っていた。

「そんなに喜ぶことでもないでしょ?大袈裟ね」

私の言葉に「そんなことない!」と言い切る夏目に更に笑ってしまった。

このままでいるのもさすがに照れてきて

「いつまで人の肩に触ってんのよ?」

プイッと横を向いて突き放すように夏目に声を掛けるが、ぶつぶつと小声で何かを呟いている。

何か恐いんだけど。

「……今度は焦らない。ゆっくりだ」

何を焦らないのか解らないが、このままは恥ずかしい。

「夏目?……もう、夏目ってば!!」

「んっ?…おぉ、悪い。ちょっとトリップしてた」

やっと呼び掛けに気付いたらしく私から手を離した。
 





< 22 / 77 >

この作品をシェア

pagetop