意地っ張りの涙(仮)
夏目の顔が紅くなっている気がして

「顔が紅いけど大丈夫なの?」
「お、おう!大丈夫たがら気にすんな!!」

元気に答えてくれたので、それ以上言うのを止めた。


「ほら、用紙を寄越しなさいよ。」

私は用紙をくれるように手を出した。待っても用紙をくれないので夏目を見ると、私が帰らないことを不思議に思ったようで

「帰らないのか?」

質問されたので、結城先生の机を指差して

「そこにメモ書きがあるでしょ?雑用を頼まれてるからまだ帰らないの」
「なら、俺も手伝うよ」

腕捲りをして近寄ろうとする夏目に私は、

「狭いし整理しづらいから手伝いはいらないわよ」

シッシッとあしらうと私は夏目に背中を向ける。
ーー本当は手伝うって言われて嬉しかった。でも一緒に居るのがなんだか照れくさくて…。
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