意地っ張りの涙(仮)
下らないことを言い合いながら待ち合わせの場所へ。夏目は先に来ていたらしくスマホをいじっている。

「煌太~!」

凌平が名前を呼びながら走り出した。それを見ていた里緒菜は冷たい目で「犬だな……!」と吐き捨てた。

「子犬みたいで可愛いんじゃないかな?あはは……」

乾いた笑いしかでなかった。フォローできないよ、凌平。

「ーーそれにしてもあの二人…見た目だけはいいな」

近寄らずに見ていると確かに周りの女の子たちが二人のことをかなり見ている。

「……放って行くのはダメかな、里緒菜?」

「そうだな…行くか」

里緒菜はともかく私は近寄りたくない。他の女の子たちから何を言われるか判らないし視線が恐い。

クルリと里緒菜と方向転換し歩き出す。
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