意地っ張りの涙(仮)
すると凌平が空気を読まずに声を掛けてきた。

「おーい!早く来いよ!!」

振り返らなくてもわかる。絶対に悪気ない笑顔だ。私も里緒菜もそれが分かっているから早足で遠ざかる。
タタッと走ってくる足音が聞こえた。

「あいつら、追いかけてきやがった…チッ!!」

とりあえず離れたいからこちらも走る。山登りする前に体力無くなりそう……(泣)

さっきまでいた場所から離れたので足を止めた。

「ああいうところで呼ばないでよ、凌平」

私は軽く睨みながら凌平に訴える。でも全然理解できないらしくきょとんと私を見ている。

「呼ばないと茜たち来ないじゃん?」

ーー頭が痛い。

「そういうことを言ってるんじゃないよ。本当に凌平はおバカだ…な!」

「な!」の部分で凌平に拳を落とす。

「いっ…てぇ!!」

里緒菜の容赦ない鉄槌に凌平は沈んだ。
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