意地っ張りの涙(仮)
私と追いついた夏目は苦笑いで二人を見る。

「あの二人は仲良いな」

「そうだね。見ていてすごく…安心する」 

私は二人へと近づいていく。

「ほら、二人とも急ごう?山の入り口が集合場所だよ」

里緒菜と凌平の背中を押して歩き出す。夏目も後ろからゆっくり歩いてきて止まると

「夫婦漫才は置いといて、柊の言うとおりだ。行くぞ」

そういって先に歩き出した。
ーー何故か私の手を取って。……ってなんで!?
いや、ちょっと恥ずかしすぎる!!

「ちょっ、ちょっと!何で手を握ってんのよ、アンタ!!離してよ、恥ずかしいから!!!」

私は急に引っ張られたためにバランスを崩しそうになりながら夏目に抗議した。すると夏目は焦っている私を見て

「柊を連れていくと瀬野が怒って追いかけてくる。で、残された凌平は置いていかれるのがイヤだから、これまた追いかけてくる。止めるより手っ取り早いだろ?」
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