意地っ張りの涙(仮)
歩いていたら手に衝撃があった。

「いたっ…」

「いてぇ!」

夏目と私は繋いでいた手を離してお互いに手を擦る。

「なっなんでいつまでも手を繋いでるんだよ!!」

振り返れば鬼の形相の里緒菜がいた。何故か申し訳なさそうな凌平とセットでこちらを見ている。

「あ…たしは認めない!認めないからな、夏目!!」

キッと夏目を睨み付けて私の手を取り歩いていく里緒菜に転けそうになりながらついていく。後ろを振り向けば夏目と凌平が立ち止まって話しているのが分かった。

「ねっ…ねえ!里緒菜ったら、どうしたの?」

私の問いかけに里緒菜は前を向いたまま

「茜はいいんだよ。まだ……まだいいんだ」

何がいいのかわからなかったけど、里緒菜が悲しそうな顔をしている気がしてそれ以上は聞けなかった。
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