意地っ張りの涙(仮)
「すぐに直せるから先に行ってて」

少しでも夏目から距離を置きたくて私は皆に先に行ってもらうように伝える。

「なんでだ?」

凌平の空気を読まない所が少々苛立ちが増す。

「バカだ……」

そう上を見ながら呟いた里緒菜は、凌平の首元の服を掴み引っ張って歩き出す。

「夏目!あんたも先に行くよ!!」

夏目を見もせずに里緒菜は行ってしまう。

「待つから早く結べよ」

私に靴ひもを結ぶように夏目は言うけど……私は、

「いいから先に行ってて!」

下を向いたまま強く言うと、少し躊躇して夏目は歩いていった。


ハァ~っと重いため息をついてしまう。少しずつだけど、普通に接することができるようになってたつもりだったけど……まだまだみたい。

「やなやつだって思われたよね、さっきの態度は…」

支えてくれたのに【ありがとう】も言えないなんて最低だ。
< 39 / 77 >

この作品をシェア

pagetop